「Effective Clean Beauty」に向けた取り組みとして、2020年8月に開墾したサスティ(ピュール)農園。農業初心者のピュールメンバーにとって心強いパートナーが、農園の共同管理をお願いしているすまいるファーム様です。同社はピュールと同じく糸島市に拠点を持ち、有機農業に取り組んでいる会社です。有機JAS認定農園で採れた作物の流通や、福祉と農業の連携、企業などとのタイアップなど、幅広い事業に取り組まれています。今回、すまいるファーム様で農園の管理を担当されている木村さんに、事業で大事にされていることや、農園を通じたピュールとの取り組みについてお話を聞きました。
化学肥料や化学農薬に頼らずに、事業を継続させていく
すまいるファームは、主に耕作放棄地を借り受けし、有機栽培を目的とした農地活用に取り組んでいます。自社としては、自然栽培米「伊都の米」や、そのほか様々な作物を栽培しており、加工やブランド化によって独自性を出しながら、市場に流通させています。また、ピュールさんとの協業のように、企業や学校、行政などとプロジェクトを組むこともあります。特徴として、障がい者支援として、障がい者福祉施設「さんすまいる伊都」と提携しており、農業と福祉の連携にも取り組んでいます。
有機農業により、持続可能な社会を目指す
自然や人にとって安心安全なものを作りたい、そして、それを本当に必要としている人に届けたい、という思いが、私たちが有機農業に取り組む一番の理由です。
私は元々、ワーキングホリデーでニュージーランド、オーストラリア、カナダに行っていたのですが、海外での経験を通じ、環境が人に与える影響の大きさを肌身で感じました。例えばオーストラリアには広大な国土があり、国民性としてもオープンで、寛容な方が多いと感じます。そのためか、場所によっては乾電池のような不燃ごみが出た際に、土に埋めるという選択になることがあります。人々の小さな行為の蓄積が、いずれ環境に返ってくるとしても、そもそも日々向き合う環境のスケールが大きく、直接影響を受けるような状況にないと、その選択の悪い面に意識が向きづらいかと思います。
また、オーストラリアでは大規模農家の影響力が大きく、そういった農家のやり方が、良くも悪くもスタンダードになります。そのような、人々の考え方も含めた農業を取り巻く環境が、自然や食において私たちに返ってきます。
また、ワーキングホリデーでは農業に関わっていたのですが、現地の色々な農家と話す中で、自分たちが作った作物が最終的にどこに行っているかわからない、と話す方が多かったことに衝撃を受けました。
ニュージーランド、オーストラリアでは大手スーパーの流通によって農業が左右される面があり、いつまでもその仕組みによって、農家も、そして消費者も動かされてしまいます。私は帰国後、人はそれぞれ、自分たちを取り巻く環境がどんなもので、自分はどういう立ち位置にいるかを理解しておかなければならない、自然と食は非常に重要なもので、いずれは自分たちに返ってくるものだということを意識しておかなければならない、と強く思いました。
まさに、これまでの経験を通じて、持続可能な社会をつくっていくことが重要なのだと体感したのです。その後、まずは流通を学ぼうと流通業に入り、数年を経て、現在はすまいるファームに所属しています。
多くの人を巻き込み、仕組化して継続することが大事
農業は100の仕事があると言われています。ただ作ればいいだけではなく、天候を含めた外部影響に常に左右されながら、キリがないくらい多くの仕事が発生します。農家さんが1人でやるにはもちろん限界がありますし、すまいるファームも同様です。
我々は法人として従業員を抱えていますが、自分たちだけだとスケールが限られ、各事業の持続性にも課題が出てきます。だからこそ、現在ピュールさんと、化粧品や健康食品に活用する有機作物の栽培に取り組んでいるように、企業や団体とタイアップして事業に拡がりを持たせたり、さらには、当事者間だけでなく様々な協力者を得て有機農園を効果的に活用していく仕組みを作ることで、息の長いプロジェクトになるよう共に協力していったりすることが、とても重要になると感じています。
サスティ(ピュール)農園の今後について思うこと
ピュールさんは、創業当初からの自然と人にやさしいものづくりに対して、「Effective Clean Beauty」という独自の考え方で取り組まれている、と伺いました。現在、ピュールさんとすまいるファームで、「Clean Beauty」の部分で様々な作物の有機栽培に取り組んでいますが、それらが人にとって本当に「Effective(効果的)」かどうかをピュールさんが研究し、効果が証明されれば商品の原料となってお客さんに返っていく、という流れだと理解しています。私は、自分たちの身体に返ってくるものがどのようなものかを、お客さんに食農から気づいてもらうことは重要だと感じています。既に安心安全な商品選びを意識している方だけでなく、商品を選択する軸に迷われている方においても、今一度安心安全なものを選ぶ意味を考えていただく、という意味で、非常に面白い取り組みだと思います
言葉とイメージで頭打ちしない、体験を通じた発信を
言葉よりも、体験があってこその理解だと思っています。説明してもなかなかわからないことが多い。有機農業などは特にそうです。ピュールさんとは、実際に社員の方々に農地に来ていただき共同作業することもありますので、ぜひ言葉とイメージで頭打ちしないような発信をお願いしたいと思っています。体験されるからこそ、有機農業の大変さとその意義を、真に理解いただけるものと思います。その体験を、商品開発と、お客さんへの発信に繋げていただきたいです。